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ヘレボルスの仲間

ヘレボルス属(Helleborus

*ヘレボルスのプロフィール    *ヘレボルスコレクション

※各写真をクリックすると大きく表示されます

ヘレボルスのプロフィール

ヘレボルス  ヘレボルス属は、近頃日本でも「クリスマスローズ」と呼ばれて、花の少ないまだ寒い春先のガーデンに咲く花として親しまれています。 本場ヨーロッパではクリスマスローズはHelleborus niger(ヘレボルス ニゲル)だけを示し、日本ではヘレボルス属全体またはH.orientalisだと勘違いされているので、 ヘレボルスという種類名はあまり親しみはありませんがここでは誤解のないように「ヘレボルス」という属名を使うことにしました。

 ヘレボルスは、キンポウゲ科の多年草で、ヨーロッパ、特にイタリア、バルカン半島、トルコ及びコーカサス地方、中国西部に約15種が分布しています。

 属名の由来は、殺すを意味するギリシャ語の「ヘレイン」と食べ物を意味する「ボラ」からきています。綺麗な花には似つかわしくない物騒な名前の付け方だと思われますが、 これはこの仲間が持っている毒性からつけられたと言われています。

 この仲間は、日本ではまだ目新しく、しかも野趣あふれる花なので栽培は近年になってからだと思っていましたが、栽培の歴史は古く、 ギリシャ神話にもこの仲間は登場するほどで、3000年も前からとのことで驚きました。

 野性的な趣もありながら気品ある花が咲くところから、冬の貴婦人と呼ばれているヘレボルスですが、その魅力をあらためて考えてみますと、 まずはじめに、ヘレボルスは、花のなかでは珍しく黒に近い紫色の花もあることだと思います。この花弁に見える部分は実は萼片(がくへん)で、 本物の花弁は花の中心部にある蜜腺に変化してしまいました。また、ヘレボルスは、花が長持ちするというのも魅力の一つです。美人薄命ではなく長寿で、 これは萼片だからこそ叶うことですね。綺麗なはずの花弁が蜜を出して虫を集め、花を守るはずの萼片が綺麗になって花弁の替わりをして更に虫を集めるという実に機能的で興味深い植物ですね。 また、コレクションでほんの一部を紹介しますが、萼片の色・形・模様に意外といろんなタイプがありその多様さも魅力です。

 本属は、最近まで栄養系品種が少なかったため、品種として固定したものが少なく、品種名が付いたものが他の植物に比べてかなり少ない種類で、 花色・花型のタイプで呼ばれています。従って、コレクションで紹介する写真もほとんどが品種名ではなくタイプで表記していますのでご了承下さい。


ヘレボルスコレクション


(1)H.multifidus (ヘレボルス ムルティフィドゥス)

ヘレボルス ムルティフィドゥス
 ユーゴスラビア中部原産の種で、写真のようなカップ型の淡緑色か淡紅色の花が下向きに咲きます。


(2)H.niger (ヘレボルス ニゲル)

 ヨーロッパ中部から南部に分布する早咲きの種で、英語名のクリスマスローズは、クリスマスの頃に咲くので付けられました。 よくクリスマスローズと誤解されるH.orientalis とは開花期で違いますし、本種は一つの花茎にたった一つの雪のように白い花(萼片)を横向きに咲かせますので区別がつきます。

無地 ニゲルダブル
無地  ニゲルダブル


(3)H.×nigercors (ヘレボルス ニゲルコルス)

ヘレボルス ニゲルコルス
 H.niger×H.argutifolius (ヘレボルス ニゲル×ヘレボルス アルグティフォリウス)の種間交雑種です。 花は、白地に青緑の模様が入ります。


(4)H.×sternii (ヘレボルス ステルニイ)

ヘレボルス ステルニイ
 H.argutifolius×H.lividus (ヘレボルス アルグティフォリウス×ヘレボルス リウィドゥス)の種間交雑種です。 本種は、H.nigerH.orientalis の地際から花茎を伸ばして開花するタイプ(無茎花)と違って葉の有る茎に花が咲くタイプ(有茎花)です。 また、葉が灰緑色で、小型で淡緑色に紫褐色の模様が入る花をたくさん付けるのが特徴です。

(5)H.orientalis (ヘレボルス オリエンタリス)とハイブリッド

 ギリシャ北西部、トルコ北西部ロシアコーカサス地方原産の種で、英語名は「lenten rose」つまり四旬節(復活祭前の40日間)のバラで、 3月頃に咲くことから付けられたようです。しかし、しばしば日本ではクリスマスローズのローズでバラ色というイメージを持たれるのか、 白花のH.nigerではなく本種をクリスマスローズと誤解されることもあります。しかし、開花時期が3月でH.nigerより遅いのでクリスマスローズと呼ぶには違和感があります。

 また、一つの花茎に数個の花が下向きにうつむくように咲くのも H.niger と違う点であり、控えめな姿がこの種の魅力の一つだと思います。

 原種の花色はクリーム色ですが、本種から作り出された園芸品種及び本種と他種との交雑によりハイブリッドの品種が作り出され、 白、ピンク、赤、緑色などの多彩な花色の園芸品種があります。園芸品種といいましても、固定された品種名の付いたものは少ないので、 花の地色で緑、白、黄、ピンク、赤、紫、灰紫、黒に分け、更に模様の有る無し、花型でダブル(八重咲き)、唐子咲きなどに分けられています。

 模様のタイプには、斑点、編み目、覆輪、リバーシブル(萼片の表と裏が違う色)などがあり、また花型もシングルの他にダブルもあります。

1)オリエンタリス
2)グリーン系
  i) 無地
3)白色系
  i) 斑点
3)白色系
  ii) 覆輪
オリエンタリス グリーン系 白色系・斑点 白色系・覆輪

4)ピンク系
i) 編み目
ii) リバーシブル
iii) ダブル
編み目 リバーシブル ダブル

5)紫系
  i) 無地
6)灰紫系
  i) 無地
ピンク系 グリーン系

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