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インドネシアのカマキリ 2

(インドネシア)


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 日本では生き餌を食うカマキリの残忍さが受けず、最近のある嫌いな虫のアンケートでは、ゴキブリとガについで堂々第3位の座を占めている。一方、カマを合わせて静止する独特のスタイルが“祈り”を連想させ、カマキリを“おがみ虫”と呼ぶ地方も多く、英名でも“praying mantis(祈り虫)”と称している。また、その形は造形的にも味があり、日本では竹細工の虫の花形的な存在でもある。しかし、インドネシアのカマキリの場合は、こうした作家の興味だけで創られたと思えないフシがあり、何らかの“いわく因縁”が隠されている、と、ぼくはニラんでいる。

 今回のカマキリ型灰皿、1987年の冬、ジャカルタのみやげ物店の一隅で、ホコリまみれでぼくに発見され、「ぼくが買わなければ永久に売れない」という当方の言い分を店主が認め、タダ同然で入手したものである。脚が8本もあるが、それが気にならないほど作者の力量を感じさせる見事なできである。白木の軟木製、体長31cm。



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