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タンチョウ



所在地:地域を定めず(主な生息地:北海道)
指定の経緯:
 昭和10年(1935) 8月27日天然記念物指定、27年(1952) 3月29日名称変更・特別天然記念物指定(基準:動物(2))、42年(1967) 6月22日名称変更・地域変更


タンチョウ
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 日本で見られる7種のツル(ツル科)のうち、国内で繁殖する唯一のツル。北海道東部の湿原では1年中見ることができる。

 全長155p・翼長65p・羽を広げた翼開長220p・体重13s。羽毛は全体に白い。尾も白いが、長くて黒い風切羽(かざきりばね)に覆われているため、 立っているときはこの羽が垂れて黒い尾羽のように見える。頭頂から後頭部は皮膚が裸出して赤く、これが「丹頂」の名前の由来。喉・頚・脚は黒い。

 タンチョウは夏の間、十勝・釧路・根室地方の湖沼や河川沿いの湿原に、家族ごとに200〜700haもの縄張りを構え分散している。ここが繁殖地で、 越冬地からの直線距離150km以内、釧路湿原を中心に100か所ほどある。

 10月下旬から縄張りを離れ、大半が釧路地方の人里に30か所ある給餌場に移り始める。厳寒期には、阿寒町と鶴居村にある3か所の給餌場に多く飛来する。

 主なねぐらは、給餌場に近くて、凍らない、そしてキタキツネなど外敵から安全な阿寒川や雪裡川(せつりがわ)。

 越冬地で12月中旬から1月に鳴き合いと舞いをしてつがいになると、2月下旬から4月上旬に湿原へ戻る。子連れの家族にとっては子別れのときで、 親鳥は子を給餌場に残して再び湿原での繁殖生活に入る。

 繁殖地では、湿った地上や浅い水の中に枯れたヨシで直径1.5〜2m・高さ30cmの巣を作り、長さ10cmもある卵を1〜2個産む。親鳥が交代で温めると31〜36日で孵化し、 数日後に親鳥は雛を連れて巣を離れる。雛は、100日経った8月下旬から9月に親鳥と同じくらいの大きさになって、飛べるようになる。

 餌はヨシ・スゲの根や芽、ヤナギ・ハンノキの芽、セリ・ハコベの葉、ソバ・トウモロコシの実などの植物質から、昆虫・ミミズ・カエル・ザリガニ・タニシ・エビ・小魚などの動物質まで幅広い。

 幼鳥は4歳で成鳥になるが、それまでは夏も群れで生活することが多い。寿命は20〜30年。

 平成15年(2003)、生息数が1,000羽を超えるまでになった。


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